小畑健 スペシャルインタビュー
【第3回】原稿を支えるものはこだわりと、ひたすら「描くこと」

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念願の連載デビューを果たしたのち、数々の連載作を執筆した小畑は『ヒカルの碁』との出会いにより己のスタイルを確立。その絵をさらに研ぎ澄ましていく。インタビュー第3回は小畑の執筆作業に着目。あの美麗な漫画原稿を、果たして小畑はどのように描き出しているのか…!?

ネーム原作とともに作っていく漫画

――小畑先生はネーム原作を受けると、それを元にご自分の絵でネームを作るそうですが、どのように描かれていますか?

小畑 『ヒカルの碁』ではほった先生のネームを受けて、自分は表情やポーズを考えて、キャラクターに演技をさせることを意識していました。あとは服ですね。「このキャラだったらこういった服を着るだろう」という部分にこだわりました。ほった先生の原作はあくまでネーム用の絵なので、ヒカルもぱっと見、普通のいい子という印象でした。でも漫画ではやんちゃで面白い子にしてはどうかと考えました。そこからヒカルのイメージカラーを決めて、元気な印象の服を着せて描いていったんです。ヒカルの前髪がメッシュっぽくなっているのは、ジャンプの主人公っぽく、分かりやすく派手にしたかったからです。でも決めたのは結構後なので、自分にとってキャラクターデザインの取っ掛かりは服なのかも知れませんね。

――キャラやビジュアルをどう魅力的にしていくか、ということですね。

小畑 なので自分のネームの流れもほった先生の原作そのままです。自分が手を加えさせて貰ったのは、ヒカルの「ラーメンでも食って帰っかなー」といった台詞を足したくらいでしょうか。するとそれを受けてなのか、ほった先生のネームでもヒカルがラーメン好きになっていて、あれでよかったんだと思いました(笑)。

――大場先生の原作ネームではいかがですか?

小畑 こちらも作り方は特に変わりません。ネームが面白いので基本的にそのままで、もし違和感があったらちょっと変えるくらいです。『DEATH NOTE』は最初の頃、ネームの構図もほとんど変えていませんでした。「自分だったらこうした方が分かりやすい」と思っても、そこに大場先生の意図があるのではと思って。で、途中から構図はアレンジしても大丈夫だと気づき(笑)、そこから徐々に変えることもするようになりましたね。

――ヒカルのラーメン好きのように、『DEATH NOTE』で小畑先生が加えた演出はありますか?

小畑 1話の中盤、月の部屋でデスノートの説明をしていたリュークがわざわざ外に出るシーンがあるのですが、そこでリュークが電柱に留まるコマは自分が足した演出です。ここで「やっぱり他の人にリュークは見えないんだ」と念押しすることに加え、カラスみたいに電柱に乗っけたかった。その方がカッコいいと思って。ネームを描き直している時に自然に出てきたものです。

――大場先生のネームで驚いたことはありますか?

小畑 間の使い方が自分と異なり、独特ですね。例えば『DEATH NOTE』の1話に月とリュークの表情が交互に映る、台詞のない小さなコマがあるのですが、自分自身のネームではあまりやりません。自分の場合、常に絵は変化をつけたいので同じようなコマを連続させることはほぼしないんです。不思議に思いながら描いてみたのですが、この作品には合うと思いましたね。あとは自分が描くネームより、コマとコマの間が少ない。自分のネームは説明や動作が細かく入ってきて、コマ数がどんどん増えていってしまう。ほった先生もそうですが、他の先生のネームはポンポンとテンポよく進んでいく…大発見でした(笑)。